決定

息子0歳

「染色体異常が認められました」
小児科のPC画面には小さな文字でそう書かれていた。
先生からの説明はまだだったがそういうことだ。
21トリソミー
覚悟はしていたが、やはりつらい。

しかし、先生の話を聞けば聞くほど、将来への不安が取り除かれていった。
まず、合併症や他の異常がないこと。
ダウン症の子は心臓疾患が多いらしい。心臓機能が低下すると肺に負担がかかる。おのずと運動機能も低下する。息子にはそれがない。
心配された甲状腺異常も白血球異常も認められない。
さらに先生を驚かせたのは息子の成長ぶり。
体重は日に30gペースで増加、筋肉の付き方も良好で、上半身を持って寝返りをさせた時、下半身が付いてこない子が多いらしいのだが、全身がゴロンとうまく転がる。
将来を悲観しすぎなくても良いとお墨付きをもらった。

先生の担当ではない事は承知していたのだが、ママの症状についても相談してみた。
先生は快く応じてくれて、ママの不安にひとつひとつ丁寧に答えてくれた。
「羊水検査をして中絶していれば良かった」
とママが訴えた時、先生が書いてくれた英単語。
「pr…ble」
不覚にも忘れてしまった。
ママが復帰するキーワードだったのかもしれないのに。

「中絶しなかったのはお母さんだから」
先生の一言が心に響いた。

先生はママが思っている事(障害者差別のことも含めて)を「すべて話してくれて良かった。」「私も患者を平等に診てあげられないことがあります。」とも言ってくれた。
みんなそうなんだ。

人間は不器用で、自分に不都合な衝撃的なことが起きた時に、「ショック」「拒否」「怒り」というプロセスを経なければ「合理的な解決・受容」ができないらしい。
ママは今「拒否」「怒り」の時期。

NEC_0119