乗鞍岳(3026m) 野麦ノ森尾根

乗鞍,北アルプス

乗鞍岳 野麦ノ森尾根 山スキー
2007年月 丁酉日  

乗鞍岳(3026m) 野麦ノ森尾根 曇り

メンバー アニ
05:58 野麦の里
07:55 1649mのコル
11:05 多分2600m付近              
12:50 乗鞍岳と大日岳のコル  
13:42 乗鞍岳 剣ヶ峰
14:16 ドロップイン
15:40 1649mのコル
16:38 野麦の里

3月の第一弾は、リベンジ山行である。去年の11月シーズン最初に乗鞍を目指したが敗退、今回は篤志家向きのルートから山頂を狙うことにした。しかし計画当初から私はひどいミスをおかしていた。乗鞍は慣れた土地という油断ゆえの失敗だった。仕事を終え中央道で乗鞍に向った。
松本ICで下り158号から奈川を経由し、麦峠まであと数キロの所で信じられない看板を目にする。こう書かれていた「冬季通行止め」。とうきつうこうどめ、トーキツーコードメ、ツーコードメ、どめ!!!何度も頭のなかをリフレンするフレーズ「冬季通行止め」そしてはっきり、しっかり、確実に意味を理解した。すでに午前零時をすぎていた。行くしかない!木祖村を通り100km2時間を要してどうにか野麦にたどり着いた。

乗鞍岳 野麦ノ森尾根 山スキー
2時間の仮眠で起床、カップ麺をすすったら元気に出発である。当然ながら他に登山者はまったくいない。
板を背負って林道をあがっていく。1500m付近で尾根に取り付きシール歩行開始。日が昇り明るくなったが、乗鞍の頂上付近はガスに包まれたままだ。
2時間かかり1649mのコルに到着、地図上ではまだわずかしか進んでいないことに愕然とする。ここから本格的な登りの始まりである。

乗鞍岳 野麦ノ森尾根 山スキー
のっぺりとした尾根は、樹林が濃く目印も乏しいため方向が分かりにくい。GPSをたよりに突き進む。大きな獣の足跡を目にした直後に背後でガサッと音がして振り返った。熊が出たのか思って焦ったが、ウサギがお尻を向けて逃げていった。登るにつれスキーにはまったく不向きな尾根であることを痛感する。気温の上昇に伴って頭上からボタボタと雫が落ちてくる。不快だし、下山時のコンディションを考えると不安だ。

木々が低くなってくると森林限界も近い。セルフで写真を撮ってしまったのは、頂上まで届かないかもしれないという不安の表われだろか。

乗鞍岳 野麦ノ森尾根 山スキー
高天原を横目にとにかく山頂を目指す、やがてガスに包まれると雷鳥が姿を現した。強風にさらされる上部は、厳しい様相である。

乗鞍岳 野麦ノ森尾根 山スキー
どうにか乗鞍頂上直下、大日岳とのコルに着いた。ここで板をデポしてアイゼン歩行に切りかえる。ルートファインディングが悪く岩稜帯に行き詰まってしまった。一段下がり東面に回りこむ、雪壁を登りきると雪に埋まった祠が目の前に。

たどり着いた山頂にトレースはなく、多分本日唯一の登頂者である。写真を撮ったらすぐに下山。

乗鞍岳 野麦ノ森尾根 山スキー
強い風が吹き抜けるコルで準備をして慎重に滑り始める。

乗鞍岳 野麦ノ森尾根 山スキー
視界が悪く、カリカリの斜面に露岩が恐ろしい。さらに超立体的なシュカブラ帯を抜けると視界もひらけ、樹林帯までわずかだがスペシャルステージの始まりである。オープンバーンから沢筋へ、楽しい時間は10分で終了。

乗鞍岳 野麦ノ森尾根 山スキー
濃い樹林と重い雪に苦しめられながら下降していく。1649mのコルをすぎると、ヒールをフリーにしてトラバースが続く。登りもあったりしてかなり辛い。

乗鞍岳 野麦ノ森尾根 山スキー
車に戻ると野麦の里の方に話かけられた。朝、車がとめてあったから気になっていたらしい。この冬は本当に雪が少ないそうだ。この時間気温が高く、朝と比べても随分雪が解けてしまっている。「夏もいい所だからまた来てください」と言って戻っていった。
トラブルもあったがリベンジも果たせ充実の山行であった。この余韻を楽しみたいところだが、次はどこに行こうかと考え始めていた。

アニ 記